「幸せの背番号、13」
追加 | 筆者 Yoshiki Kato | コメント
「幸せの背番号、13」

2013年にゼニトへ加入し、在籍中5度のタイトル獲得に貢献した、DFルイス・ネトが今シーズンをもって、退団することが発表されました。退団に際し、ネトからサポーターへメッセージが発表されました。

「2013年2月に僕を乗せた飛行機がサンクトペテルブルクに到着した時、こんな言葉を書くとは思ってもみなかった。

ある日の昼食後に、僕は少し寒気を感じた。それは天気のせいだったろう。肌寒かった。いやそれともサンクトペテルブルクという僕にとって未開の地による不安から震えたのかもしれない。スタジアムまでの道で、渋滞にはまった時、僕は凍った運河や綺麗な通りを見ていた。そしてそこで歴史の匂いを感じた。この匂いは2度と忘れないものだろう。

最初に紹介されたことは、僕の苗字の「ネト」がロシア語の「ニェット(いいえ)」や「ニィチィヴォ(何もない)」という意味の単語に似ていることだった。そして僕の背番号が13ということに、サポーターがふさわしくないと思っているのではと僕は勘繰っていた。それは僕がセリエAの最下位のチームからやってきた、ビッグクラブでプレーしたこともない選手だったからだ。

僕は僕の価値をサポーターに示し、そのプレッシャーと向き合う方法を知る必要があった。そしてそれは最初から最後まで、ずっと僕を動かし続けた。もちろん最初は簡単じゃなかった。チームは出来上がっていて、僕は全く新しい文化に適応している途中だった。だけど、その時、僕は常にサポーターの応援や温かさ、忠誠心を感じていた。スタジアムで、街で、そして練習場でみんなが僕に優しく接してくれた。

僕は決して自分をアイドルだとは思わないし、ヒーローでもない。でもいつも僕は、僕がサポーターの皆さんの中の一部だったと思っていた。そして、僕はここで言いたい。ゼニトのサポーターの皆さんが、僕のアイドルであり、ヒーローだと。

僕はネフスキー通りの散歩を忘れることはないだろう。この通りは僕にとって大都市の中の居心地の良いオアシスだった。それに春の花の匂いも忘れないだろう。そして毎年僕を驚かせた「戦勝記念日」。ロシア人の持つ、誇りと戦没者への尊敬を感じることができた。

そして僕ら、チームとサポーターの間にある団結心は一つの語られるべき真実であろう。いつも素晴らしい応援を送ってくれ、7年間で5つのトロフィーを素晴らしい人々とともに勝ち取ることができた。

いつも僕はペトロフスキースタジアムとガスプロム・アリーナの観客席が、まるで前に押し寄せてくるような錯覚を感じていた。晴れの日も、雨の日も、雪の日も、そして屋根が閉まっていても、いつも感じていた。誰かを選ぶことはできないけれど、それでも僕はサポーターの皆さん一人一人に感謝している。そしてクラブスタッフと僕をいつも気にかけてくれたクラブにも感謝している。

この手紙は、別れに聞こえるかもしれないけれど、お別れの手紙ではない。7日間ではなく、7年間の時間が過ぎたんだ。ここへ来た時、僕はただの恋する若者だったが、今こうして去る時、僕は夫になり、そして父親になった。僕たち家族は、僕たちの為に皆さんがしてくれたことへの御礼を言い尽くすことはできない。僕らを向かい入れ、鍵をくれ、そしていつまでも残ることを許してくれたのだから。

いま一つだけはっきり言えることは、僕はまたここへ戻ってくる。サンクトペテルブルクに本当に多くのものを残せたからだ。サンクトペテルブルクは、僕にとっての「アナザースカイ」だ。そしてゼニトは永遠に僕の「ホーム」だ。」

ルイス・ネト

5月26日のエニセイ戦後、ガスプロム・アリーナでネトの挨拶も行われる予定となっています。

今まで、本当にありがとう、ネト!Obrigado Neto!!!!!!

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